〔 2017年8月号(2017年8月13日発行)・詩「うなだれる」 〕

碧い風 目次




 うなだれる

 子どもが言った
 ―おとうさん、見て。あの花、がっかりしているよ。     
 見ると
 大人の背丈を超えるほどの高さに伸びた
 茎の先に
 いまはもう花びらのない大輪(たいりん)を
 重たげに垂らして立っている
 一本のひまわりの花

 夏休みも終わりに近い
 ある日のこと


     (久野雅幸 詩集『三人の日に』所収 一部改)

   
  
 
  
  

〔イラスト:梅津 大暉(たいき)さん 高校2年〕


〔作者からひとこと〕
八月は、夏休みが終わる月なので、「がっかり」がつきまとう月とも言えるように思います。休みの終わりに「がっかり」しないですむ方法は?

〔作者からもうひとこと〕
 詩集『三人の日に』は、“「子どもの感性」と「自分の感性」とを合わせて協奏曲のような詩を作れないだろうか”というイメージのもとで作った詩を集めた詩集。「子どもの感性」が独奏で、「自分の感性」が伴奏(合奏)するようなイメージです。
 イラストは、少ない言葉をもとに情景を豊かに想像して描いてくれました。