旧トップページ・2014年9月〈2014年8月31日~10月5日〉





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  アザミに


 駐車場のはしに根づいて
 花を咲かせた
 一株の
 アザミの花

 いまここにある
 ということでは
 同じでも

 ぼくは
 待っていることができない              

 茎の先に
 いくつか
 綿毛の実をもつに至った
 きみのようには

 風を

    *






 きみがここにあることを
 ぼくは知っている
 けれども
 ぼくがここにあることを
 きみは知らない

 不公平だな
 と思う

 きみが気の毒だというのではない            
 きみは傲慢だというのでもない

 ぼくはうらやましく思うのだ

 世界への
 きみの
 その
 信頼について

    *






 どこから
 どこへ
 というのは
 ぼくたちにとって
 いつも
 大きな問いだ

 その二つの問いがともに無効になる―         
 そういうところで
 きみは生きている

 お生まれはどちらですか?
 将来は何をするつもり?

 そういう問いが無効になるところに
 寝転がって
 空を見上げていたい

    *





 そろそろ
 ぼくは歩くことにする
 立っていることでは
 とてもきみにはかなわない

 立つことについて
 ぼくたちは
 未熟なのだ

 動くことをしなければ
 何一つ
 成し遂げることができない―
 そのうえ

 きみたちはずっと立ち続けていることができるのに   
 
 夜になれば
 横にならなければならない              
 ぼくたちだ
                  
                    (久野雅幸)
 

         

〔いちばん上の写真の説明〕
  8月23日に、山形市野草園で撮影しました。黄色い花は、秋の七草のひとつ、オミナエシです。チョウは、ベニシジミ。
  山形市野草園では、秋の七草のすべてを見ることができますが、特にオミナエシは群落をつくっていて、みごとです。