旧トップページ・2015年1月〈2015年1月1日~1月31日〉



  


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    ゆらぎ

 
  冬の日―   
  
  三センチメートルほどの長さの影が          
  向きをそろえて
  無数に
  路面に落ちている

  何かと思って
  顔を近づける
  すると―

  それは
  一粒一粒の
  砂の影

  道の上にころがる
  無数の砂粒が
  それぞれ
  長く影を伸ばしているのだ

  冬の日の
  早い朝の光をいっぱいに浴びて

  砂粒の一つ一つが



  こんなに
  はっきり存在を主張しているとは
  ここは
  いったい
  どういう浄土なのだ

  ―オ、ハ、ヨ、ウ
  と言う
  となりに
  あなたがやって来て

  (こんなふうに
   伝えたいことに合わせて
   きまった空気のふるわせかたをする         
   そんな繊細な空気のふるわせかたを
   ぼくたちは
   いつからか
   あたりまえにするようになって)

  ゆらぐ―
  あなたの
  まるで今朝の空の朝焼けのような
  ほほのいろどりを見て
  気持ちが大きく




  ゆらぐ   

  ゆらぎ―
  きっと
  そうなんだろう
  どんな命も
  宇宙からすれば
  ほんのわずかな
  存在のゆらぎ

  おさまってしまえば
  砂粒と同じ存在になる―
  無言で不動の
  つつましい存在となる―

  そんな一個のゆらぎとして
  冬の朝の
  道を歩く

                 (久野雅幸)   

   *「―」(ダッシュ)は、本来、すべて二字分の長さ。
  
  
    



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