〔 2018年5月号(2018年5月13日発行)・詩「不思議」 〕

碧い風 目次



    
  
 不思議
 
 ―不思議ね
  どうしてこんな花が
  風が吹くことを知っているのかしら       

 私たちの足もとに咲いている
 今はもう綿帽子のタンポポの花

 あのように
 子どもたちが
 息を吹きかけて
 風の中に放つことまでは
 まさか
 知らなかったと
 しても

        (久野雅幸 詩集『旋回』所収)
 
  
  

〔イラスト:新野 星(あかり) さん 高校2年〕


〔作者からひとこと〕
 タンポポの「綿帽子」は「風の存在」を前提にしているとしか思えません。不思議です。さて、この詩には「私たち」が登場します。男性である「私」と、一人の女性とで「私たち」です。この詩の情景を思い浮かべる手がかりにしてください。
 イラストは、詩をもとに、想像力豊かに「自分なりのイメージ」を思い描き、表現してくれました。すばらしいと思います。「綿帽子」がどこに、どのように表現されているか、見つけてみてください。

〔作者からもうひとこと〕
 イラストのどこに「綿帽子」が描かれているか、おわかりでしょうか? 答えを述べておくと、吹きかけられた「息」の上に乗っているのが「綿帽子」(の種子)です。「綿帽子」の種子を、まるで妖精のようにして、表現してくれました。