〔 2019年2月号(2019年2月10日発行)・詩「見えない鳥」 〕

碧い風 目次



    
 
 見えない鳥

 雪が落ちて枝がはねる
 まるで鳥が動いたように

 鳥が動いて枝がはねる
 まるで雪が落ちたように

 雪が降り積もった木では           
 見えない鳥と
 見える鳥とが
 いっしょになって
 あそんでいる

    *

 雪が消えると
 風が
 たくさんの見えない鳥をつれてくる      
 鳥が
 とまったり
 うつったり
 とびさったりするたび
 枝がゆれ
 枝はたえずゆれるようになる         
 そのおだやかなゆさぶりに
 木々のねむりが
 少しずつ 少しずつ
 あさくなっていく

              (久野雅幸)
 
  
  

〔イラスト:新野 星(あかり)さん 高校2年〕


〔作者からひとこと〕
 イラストは、「雪」と「鳥」を巧みに重ねて、詩の世界を踏まえ、イメージを豊かにふくらませて描いてくれました。
 「碧い風」の連載は、今回が最終回になります。企画をいただいたサンデータイムス編集部、イラストの制作・掲載を快諾してくださった二つの高校の美術部の生徒さんと顧問の先生、そして読者の皆様に深く感謝しております。 

〔作者からもうひとこと〕
 詩集未収録の詩です。「碧い風」が初出です。
 この回(通算21回)をもって、「碧い風」の連載を終了しました。原因は、私(久野)に、月に一つの詩を書く自信がなくなったためです。詳しくは「あとがき」で述べたいと思います。
 なお、2019年1月号は、「碧い風」を休載とさせていただきました。理由は、詩が書きあがらなかったためです。