旧トップページ・12月〈2013年11月24日~12月31日〉

 
 

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   光


  みな光の衣装をまとっているのだ
  雲も空も道も家も
  それに
  人も

  そんなことに気が付く
  冬の朝である

  このためだったのだな
  夏の終わりに
  私たちのもとから
  世界が
  ひっそりと
  遠ざかっていったのは

  ―遠ざかってしまうのは何も空ばかりではないのだ   
  そんなことを考えながら
  野の向こうに立つ
  人の姿を見ていた

  光が世界を装うときには
  いつも
  その時々の「遠さ」をともなっているので
  装われた世界は
  私たちから遠ざかったり
  私たちに近づいたり
  する






  秋
  世界は
  まるで一人のつつましやかな女性のように
  私たちから身をひいていた
  今
  世界は
  まるで一人の見慣れない旅人のように         
  私たちの前に立っている

  一日がどんなに遠いところから
  私たちのもとにめぐってくるのかがわかる
  今朝は
  道の上で出会う
  どの一人の人の姿を
  見ても 

   
                    (久野雅幸)