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山形県天童市貫津(ぬくづ)に、「ジャガラモガラ」という不思議な地名の場所があります。天童市の東部に位置する雨呼山(あまよばりやま、標高905m)の中腹にある、東西30m、南北60mほどのすり鉢状のくぼ地です。地元では、姨捨(おばすて)伝説で知られており、また、くぼ地底部の地面に「風穴(ふうけつ」と呼ばれる、数十センチ程度の穴がいくつもあって、そこから真夏でも冷たい風が吹き出していることでも知られています。
名前の由来は諸説ありますが、私が身近な人たちから伝え聞いているのは、姨捨伝説と結びついたもので、年寄りをその地に捨てに行った者が、帰り道で、年寄りが自分の名前を呼んだり、さまざま叫んだりする声をかき消すため、鍋などを激しくたたいて大きな音を出し、その音が「ジャンガラモンガラ」というように鳴ったところから、「ジャガラモガラ」という地名になった、というものです。
上の4枚の写真は、どれも「ジャガラモガラ」に生えていた植物で、向かって上左が「ヤナギラン」、上右が「ホソバノキリンソウ」、下左が「オオダイコンソウ」、下右が「オニドコロ」です。どれも、めずらしい植物とは言えないようですが、「ヤナギラン」は亜高山性の植物であり、「風穴」のために、標高が高くない(550m)のにそうした亜高山性の植物が見られる点に、生えている植物についての「ジャガラモガラ」独自の特徴があるようです。
私が上の写真を撮影したのは、2015年7月25日ですが、そのときには、下の写真のように、「ヤナギラン」が群生していて、くぼ地全体が植物で覆われていました。