旧トップページ・2015年2月〈2015年2月1日~2月28日〉



    


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    枝

 
  枝の上を歩いていると             
  天使に出会うことがある

  枝に腰掛けて
  天使は
  羽をやすめている

  鳥と違って
  天使は
  実を食さない
  地に落ちて
  はじめて
  芽を出す
  それは
  あくまで
  地のものだから

  蛇が巻いた枝は
  よこしまな
  杖になってしまう

  枝の上を歩く者は
  すでに
  迷っている





  枝は道と平行にあるので
  迷わない限り
  枝には行けない

    *

  地と
  空との間に
  枝が
  ある

  葉と
  花と
  実が
  枝によって
  地と空との間に
  置かれるが                  

  葉は空に向かっている
  花は風に向かっている
  実は地に向かっている

  枝は



  地と空との間に
  あり
  空に向かって
  広がっている

  空から来るものたちにとって
  それは
  広場のような場所だ

  鳥は
  木と
  どれほど親密な関係にあるのだろう       

  最初の鳥は
  枝の上から
  空に向かって
  はばたいたのだろうか

  だとしたら
  木は
  鳥たちにとって
  まさしく
  誕生の場所だ
  そこに
  巣をかけるのは



  誕生の場所を離れないでいる
  ということ

  (私たち
   人にとって
   誕生の場所とは
   どこだろう
   眠るときには
   その場所を思って
   眠りたい)

  たてがみは
  草原を誕生の場所とするものたちの証だろうか   

  道は
  細くなって森へ向かうが
  枝は
  どの枝もすでに森である


                 (久野雅幸)