旧トップページ・2015年7月〈2015年7月13日~8月30日〉



     
  

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  空を見ている

  いつのことか                 
  空の広がりを
  私たちの脳が受け入れた
  そういうときが
  きっとあった―

  そう思われるほど                 
  私たちの脳につくられる
  意識の広がりは
  空の広がりに
  似ている
  そこに現われる
  思いや像は
  空に現われる雲に
  似ている

  そんなことを考えながら
  今日の日の
  空を見ている
  何の形ともつかない雲が
  ひとつまみ
  ぽつんと
  浮かぶ
  高く
  深い
  空を見ている

    *

  いったい
  いつのころからだろう
  かたづけることが
  私たちの仕事になったのは
  身のまわりのものごとや
  世界中のありとあらゆるものごとを
  私たちは 
  かたづけ続けている
  行為によって
  あるいは
  言葉によって                 

  これまでどれほど多くのものごとを
  私たち
  ヒトが
  かたづけてきたことか
  行為によってかたづけられて
  ものごとが
  落ち着きや秩序を得て収まり
  言葉によってかたづけられて
  ものごとが
  筋道や系統の立った認識の内に収まり

  日記や
  論文や
  歴史書や



  百科の事典が
  書かれ
  まとめられ
  書き継がれ
  更新され続けているが

  言うまでもなく―
  かたづけなければならないものごとは
  時とともに新たに生じ
  まだかたづけきれていないものごとで
  世界はいつもいっぱいだ

  とりあえずここに置く―
  を繰り返し
  床の上にまで本やプリントが散乱してしまった
  部屋を前に
  私は
  かたづける―
  という仕事を今日もまた放棄し
  明日どうしてもかたづけなければならないことを
  あれこれ思いやりながら
  何とも収まりの悪い気持ちを抱えて
  休日の日の
  夕方の空を見ている 
                 (久野雅幸)
      
  
  



〔ページトップの写真〕
7月にふさわしい花は何かと考え、ネジバナにしました。7月に入って咲き始めたという、単純なことが主たる理由です。
小さな花が穂(花序)を巻くように螺旋状をなすので、“ねじれた花”の意味で、ネジバナと呼ばれるようになったようです。
ラン科の植物で、小さいながらにランの形をした鮮やかなピンク色の花が、たくさん、それも螺旋状に咲くので、人気が高いようです。
とはいえ、雑草の繁茂するこの時期に伸びて花を咲かせるので、雑草の一つとして刈り取られてしまうこともあり、そのことは、残念な気がします、
季語としては、「夏」の季語です。
さて、「ネジバナ」と言っても、中には、花が螺旋状にならないで、“鈴なり”になるものもあります。上の写真向かって右のものがそれです。螺旋状になる場合も、右巻きと左巻きがあります。次の写真のものは、上の写真向かって左のものとは、花の向きが逆です。



写真は、3枚とも、2015年7月に天童市内で撮影しました。