旧トップページ・2015年11~12月〈2015年11月9日~12月31日〉



   ヤマモミジ    ハウチワカエデ   

  
 

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  あいさつ

  ―どうも、ナウマンゾウです。
  という言葉が
  濃い霧につつまれた町の
  あちらこちらで
  今朝
  聞かれた
  この町の人たちが
  朝のあいさつを交わしていたのだ

  ―どうも、シロナガスクジラです。       
  という言葉が
  町の人々の間で
  交わされるようになったのは
  すっかり霧が晴れて
  太陽が
  高くのぼっているときだった

  夕方―
  山の端に近づいた
  太陽が
  たちまち
  山の端に接し



  そのまま
  山の向こうに
  没していくころには
  ―どうも、カワラヒワです。
  という言葉が
  町の人たちの間で
  交わされるようになった

  ―どうも、カワラヒワです。
  と声をかけられて
  ―いいえ、セグロセキレイです。        
  と
  言葉を返した
  その人は
  その場所で
  立ったまま
  ひとり
  夜を迎え
  夜を過ごし
  日付が変わるのを
  待つこととなった




  ―いいえ、ヒメムカシヨモギです。       
  と
  聞こえるか聞こえないかの
  小さな声で
  言葉を返した
  その人も
  やっぱり
  その場所で
   
 
   *―(ダッシュ)…本来二文字分の長さ。

                (久野雅幸)
   
 

〔トップページの写真について〕
 上の写真。向かって左はヤマモミジ(山形県東村山郡山辺(やまのべ)作谷沢(さくやざわ)で、2015年10月11日に撮影)、向かって右は、ハウチワカエデ(山形県天童市の若松寺で、2015年10月24日に撮影)。

 モミジとカエデの違いを調べたところ、植物としての分類の上では、どちらも同じカエデ科カエデ属の植物であり、その意味ではモミジはカエデに含まれると言ってよいようです。

 植物の名称として区別する場合には、“カエデの中でも、特に切れ込みが深いものをモミジと呼んでいる”ようです。
よく知られているモミジとしては、「イロハモミジ」、「ヤマモミジ」、「オオモミジ」があります。
山形県内(およそ、東日本の日本海側)には、「イロハモミジ」の分布がなく、県内の山野に自生しているモミジについては、「ヤマモミジ」か「オオモミジ」のどちらかで、ほとんどは「ヤマモミジ」と考えてよいようです。

 「ヤマモミジ」は、葉の周囲のぎざぎざが複雑で、「イロハモミジ」よりも大きく、私の主観では“野趣”を感じさせます。
「オオモミジ」は、葉の周囲のギザギザが複雑でなく、そろっていて、大きさは「イロハモミジ」よりも大きいようです。

 次の写真は、向かって左がヤマモミジ(山形県西村山郡西川町志津で、2013年11月2日に撮影)、右がオオモミジ(山形県天童市の若松寺で、2015年10月24日に撮影、「自生」かどうかは不明)だと思います。

ヤマモミジ  オオモミジ

 「イロハモミジ」は、葉が小さめで、葉の周囲のギザギザが複雑です。京都で初めてモミジを見たとき(紅葉していました)、その“細やかさ”に驚きましたが、あれがまさしくイロハモミジなのだと思います。
 天童市上貫津(かみぬくづ)に、「格知学舎(かくちがくしゃ)」という明治時代の私塾があり、現在は、紅葉の名所として知られていますが、そこのモミジは、案内板に「タカオカエデ」とあり、学舎を開いた儒学者の本沢竹雲が京都から運ばせたものとのことです。「タカオカエデ」は、「イロハモミジ」の別名のようです。
 次の写真は、二つとも、格知学舎で、2015年11月7日に撮影したものです。やはり、“細やかさ”を感じます。

格知学舎  格知学舎

 一方、カエデは、切り込みが浅く、語源とされる「カエルの手」のような形をしています。
代表的なものに「ハウチワカエデ」と「イタヤカエデ」があり、どちらも、山形県内で、よく見かけます。

 葉の周囲にギザギザがあり、よりモミジに近い形をしているのが、「ハウチワカエデ」、葉の周囲にギザギザがなく、「よりカエルの手」に近い形をしているのが「イタヤカエデ」、と考えてよいようです。

 次の写真、向かって左がハウチワカエデ(山形市の蔵王で、2013年10月14日に撮影)、右がイタヤカエデ(の仲間)(山辺町の山形県県民の森で、2014年11月2日に撮影)だと思います

ハウチワカエデ  イタヤカエデ