旧トップページ・6月〈2013年6月1日~6月30日〉


 

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   旗


 すぐに
 行ってしまう人とわかった
 あなたは
 背に美しいたてがみを持っていたから

 風にたけ高い草々の立ち上がるとき
 またなびき伏すとき
 あなたは
 なだらかに裾の広がる
 小高い
 岡の上に立っていた

 だれの領地でもどこの領土でもない
 あなたが立っている
 そこは
 あなたのための土地であり
 また
 あなたを認めるすべてのものたちの土地である   
 そのことがわかった
 あなたは手に
 一本の旗を握っていたので


                (久野雅幸)