六月は、雨を受けて、植物が一気に成長する時期。私たちにとっては過ごしづらい、じめじめした気候も、植物たちにとっては、成長を促す、望ましい気候であるように思われます。
次の「木の下に」は、六月にはしっかりしたものとなる「木の下の暗がり」がモチーフになっています。
話が飛びますが、「木の下の暗がり」と言えば、『和泉式部日記』の冒頭の一文が、とても印象的で、思い出されます。
夢よりもはかなき世の中を、
歎きわびつつ明かし暮らすほどに、四月十
余日にもなりぬれば、
木の下
くらがりもてゆく。
旧暦の「四月」は、初夏であり、新暦では、五月から六月になります。「木の下くらがりもてゆく」ようすが目につくなるのは、少なくとも山形では、六月かなと思われます。
なお、「木の下」は、『和泉式部日記』では「このした」と読むようですが、下の詩では「きのした」と読んでください。